占いとの付き合い方



ノストラダムス及び五島勉(ごとうべん)さんに関して

この二人が言っていた事は、「予言」というより「警報」だったんじゃないか? と思います。
以前TVで洪水警報を見ていてそう思いました。
その当たり外れを論じるものなんかではなく、発令もされれば解除もされる。
起こる可能性も起こらない可能性もどちらも、100%でもなければ0%でもない。
しかも、そのパーセンテージは変動しうる。と言うより、変える事が出来る。
起こる場合の事を考えて、警戒と最大限の努力はしておくべきだ。という。

ちなみに、まともな警報/注意報なら、起こらない可能性の方もちゃんと考えて
対策をとらない時に起こった場合のデメリットと、
対策をとったのに起こらなかった場合のデメリットとをハカリにかけた上で出されるでしょう。
その後の社会生活を放棄させるかのような、余りにも無茶な指示は出さないものです。


この二人自身はむしろ、危険を回避するための "別のもの" の解明に力を注いでたと思われます。
1999年の7の月に恐怖の大王が降ってくる、だから今の生活を捨てろ、自分の人生をあきらめろ、
享楽的に生きろ、などとは、この二人自身は全く言っていません。言っていたのは別の人たちです。
この二人の一連の文章を、興味本位で取り上げたマスコミ関係者たち (全員とは言いませんが)
私利私欲のために使って来た宗教家や自称予言者、宗教団体等々、
そんな人たちの責任まで、この二人がとらされるのであれば、気の毒に思います。

実際問題、色んな危機は現実に存在してた/してる訳ですし、
その危機を回避すべく、ありとあらゆるところで、沢山の人々が尽力してきた訳ですし。
学者、政治家、ジャーナリスト、農業関係者、主婦、消費者運動家、医者、
その他ここでは書ききれない人たちが、
見えない所で色々な努力をしてきて下さった事に関しては、
ただもう素直に敬意を表します。


複数の可能性

占いとは、"ただ一つの避け得ぬ未来" を示すものなんかでは決してなく、
こっちを選ぶとこうなる、あっちを選ぶとああなる、という複数の可能性と、
それぞれを選んだ場合のアドバイスなんです。
ここの所、占い師でもあんまりよく解ってない人が実はかなり居ます。

タロットでいうなら例えば、塔のカード。
よく本には、喧嘩だの事件事故だの別れだの、不吉なことばかり書かれています。
しかし他にも、自分の限界を知って謙虚になる、上の立場の人から厳しいお説教をされる、
単に方向転換をする、プライドを捨てて素直に人に接する、などの意味もあるんです。
健康面や金銭面を占ってこのカードが出たら、むしろ、

それらの内のどれかをすれば、
良く言われる事件事故や大損害、大病ケガなどに至る可能性はほとんど回避されますし、
大難を小難に変える事も十分可能なのです。

これが、世間で言う「悪い占い結果」の正しい使い方なんです。
悪い運命を暗示するのではなく、単なる警告なのです。

機械的に解釈をして、「こういう暗示があります」と言うだけでは、単なる運命評論家です。
これからパソコン用の占いソフトなどが進化すれば、用なしになるでしょう。  (今もなりつつあります)
「こういう暗示があるから、こういう風にしてみては」と、または
「こういう傾向があるからこのままでは凶だけど、こう変えれば大丈夫」と建設的な提言が出来て、
そこで初めて占い師と言えるのだと思います。

※ただし、その提言が、高額な壷や印鑑や別荘地を買わせたり、俗世間を捨てて修行させたり、
 というものは論外です。
 まともな占い師なら、例え思い切った変革が必要な場合でも、
 根気強く待つし、駄目ならそれに代わる次善の案を一緒に考えてくれるものです。
 また、金銭的/物理的な犠牲を払わせるのでなく、
 たとえ厳しくても、考え方の根本的な変革を促してくれるものです。
 それに比べれば、金銭的/物理的な犠牲を払えば救われる、という発想は、
 かえって安直に思えて仕方ありません。教わる側も、教える側も。


「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります

他ならぬ自分自身によるもの(意志、発想法、態度など)と、
自分の力ではどうしようもないもの(環境の変化、時の流れ、先天的な体質気質など)と。
運命とは、この二つの組み合わせで出来ているように思います。

どちらか片方をおざなりにしても、運命は変わって行かないものです。
しかし現実には、どちらか一方にこだわり、もう一方を軽んじる人が多いです。

また、占いは時として、「人事を尽くさずにただ天命を待ち続ける」ためのものだという
誤解を受ける事もあります。
「占いを毛嫌いする人」を産み出す原因は、おそらくそこでしょうか。
また、「占いではいい事を言われたのに、当たらない」という場合は、
もちろん、占い技術やその結果の表現法に問題があった場合もありますが、
それ以前に、上記のような「運命の出来上がり方」が理解されていなかった場合も多いようです。

占いで知る事が出来るのは、基本的には後者の方だけです。
待つ/攻める など、それを使いこなして行くのは、本人です。
むしろ占い師の仕事は、先天的な性質や状況などを正しく見抜くと共に、
本人自身の意志や発想法などを育てたり鍛えたり守ってあげたりする事、
占い結果をその人がどうやって使いこなしていったらいいかを
アドバイスしたり一緒に考えたりする事でしょう。


どうか、占いに振り回されるのではなく、占いを賢明に使いこなす人間になっていって下さい。
それが私の願いです。

(2001-09-06) ※1999-07-17〜18執筆のものに加筆



占いに入る前に
・占いとの付き合い方
占いの種類
「吉」と「凶」の概念
占い師のフィルターを通した解釈

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